ストアーなかむら
シャディサラダ館山口大歳店
社長

田舎の百貨店

 日常生活に必要な商品を幅広く取りそろえたコンビニエンスストアが登場して20数年が経つ。今では地域に密着した便利な小型スーパーストアとしてすっかり定着し、若者を中心に日本人の生活や行動、ライフスタイルを大きく変える役割を果たしてきた。最近は電子商取引(EC)やネット銀行のサービス拠点としても注目を集め、小売業界の中での存在感を一段と高めている。

 JR山口線の矢原駅に近い住宅地に店を構える「ストアーなかむら」は20数年前から地域に密着した、何でもそろう便利な店づくりを目指してきた。中村社長が「うちの店はコンビニのはしり」と言うように、店舗スタイルはコンビニと同じだが、取扱商品は酒や食料品、雑貨類のほか、野菜、果物、花、灯油など豊富な品ぞろえを誇る。しかも野菜や果物類などの地方発送や近所への無料配達も手掛け、大手コンビニとの差別化を図っているのが特徴だ。

 昭和25年の創業で、昨年に創業50周年を迎えたが、地域の要望に何でもこたえる「よろず屋(田舎の百貨店)」の基本コンセプトは変わらないという。20数年前に移転したコンビニスタイルの現店舗も「一人で店番できる店づくりを考えたら、こんな形になった」と中村社長は笑う。



どこよりも安く

 ストアーなかむらは中村さん夫婦と長男、それに母親の家族4人が支えている。中村さん夫婦が交代で店番に立ち、母親は店自慢の手作りの漬物の仕込みに励み、長男が配達を一手に引き受ける。開店当初は酒の販売が売上高の半分を占めていたが、ディスカウント店の登場で販売競争が激化したのを機に、野菜とタンクローリーによる灯油の販売を強化して危機をしのいだ。

 野菜は毎朝、中村社長が自ら山口青果市場に出向いて仕入れ、大手スーパーやコンビニにはない品揃えに余念がない。お客のニーズに合ったものを自分の目で確かめて仕入れることで、鮮度や低価格は勿論のこと、季節商品など豊富に仕入れることができるというのだ。また、タンクローリーを使った灯油の販売も、始めた当時は珍しく、顧客の拡大に威力を発揮したという。